天に上げられたイエス
2024年5月11日・12日 主の昇天
福音書 ルカ 24:44~53
24:44イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」 45そしてイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心の目を開いて、 46言われた。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。 47また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、 48あなたがたはこれらのことの証人となる。 49わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。」
50イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。 51そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。 52彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、 53絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。
今日は主の昇天の主日です。主の昇天(昇天日)は復活のイエス様が天に上げられたことをおぼえる日であり、イエス様が地上での活動を終えられて、天に上げられ、父なる神様のもとに帰られたことを記念する日です。昇天日はまた、天に昇られたイエス様に倣って、私たちもいずれ天の御国に入れられるということを確認する日でもあります。イエス・キリストが復活の40日後に昇天したという聖書の記述から、昇天日は伝統的に、復活日から数えて40日後の木曜日に祝われてきました。しかしながら、平日に礼拝するのが難しい場合には、このように日曜日を昇天日として礼拝します。
聖書の中でイエス様の昇天のエピソードが記されているのはルカ福音書、使徒言行録、マルコ福音書の三つです。マタイ福音書とヨハネ福音書には昇天の記述がありません。ルカ福音書と使徒言行録では、イエス様は弟子たちに聖霊を約束された後、天に昇られます。マルコ福音書では、イエス様は弟子たちに宣教を命じられ、「信じる者は蛇をつかんでも毒を飲んでも死なず、病人に手を置けば治る」と話された後、天に上げられます。いずれのバージョンにおいてもイエスは弟子たちと最後の言葉を交わされた後、弟子たちの見ている前で天に上げられたとされています。イエス様は弟子たちに約束を残され、弟子たちに見送られて天に昇って行かれるのです。
今日の聖書では、イエス様が弟子たちに「わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。」と言い残しておられます。父が約束されたもの、高い所からの力(口語訳では「上から授けられた力」)とは、すなわち聖霊のことです。イエス様はご自分が地上を離れるにあたって、弟子たちに聖霊を送ることを約束されました。イエス様が肉体をもっていつも一緒にいなくても、聖霊が働いてくださることで、弟子たちは神様の力に包まれていることができると約束してくださっているのです。
それは裏を返せば、弟子たちは聖霊が来てくださるまでは宣教の仕事を始めることができないということです。神様の力をいただくことなしには、弟子たちは何もできません。それは、私たちが復活節に読んできた聖書の箇所で繰り返し言われてきたことです。(「わたしはよい羊飼い」「わたしはまことのぶどうの木」のお話などがそうでした。)ですから聖霊が降るまでの間、弟子たちはただ都にとどまっているように指示されます。神様が助けてくださるまで待機する、というのが最初の弟子の仕事になりました。
イエス様は弟子たちに最後の言葉を残されると、ベタニアへ行かれ、そこで彼らを祝福されます。イエス様は手を上げて弟子たちを祝福され、祝福しながら弟子たちのもとを離れ、天に昇って行かれました。イエス様が天に上げられたことはイエス様の地上における活動が終了したことを意味します。イエス様は地上を離れ、はじめからご自身のために備えられていた場所、つまり神様のみそばへと行かれました。ルカ福音書22章69節にはイエス様が「しかし、今から後、人の子は全能の神の右に座る。」と言われたとあります。「神の右」とは「神様から一番近いところ」という意味です。そのお言葉通りイエス様は天に昇って行かれ、神様から一番近いところで、弟子たちとそして私たちを永遠に見守ってくださっています。
イエス様を見送った弟子たちはどうしたでしょうか。彼らはイエス様をおがみ、大喜びでエルサレムに帰りました。イエス様とのお別れの直後でありながら、彼らはちっとも悲しそうではありません。それは復活後のイエス様が弟子たちの信仰を強めてくださったからです。復活節に読まれた聖書の箇所には、疑う弟子たちをイエス様が様々な形で信じさせてくださるというお話が多くありました。(傷跡に指を入れてみなさいと言われたり、焼き魚を食べられたり。)イエス様によって信じる力を与えられ、心の目を開いていただいた弟子たちは、もはやイエス様のおっしゃることを疑いません。「わたしは全能の神の右に座る」というイエス様の言葉が成就したことを喜び、約束された聖霊が来てくださることを確信していたのです。
こうしてエルサレムに帰った弟子たちはたえず神殿の境内で神をほめたたえ、イエス様に約束された聖霊を待ちました。もはや弟子たちとイエス様を引き離すものは何もありません。イエス様が地上を去られても、ずっと彼らを守っていてくださるということがわかったからです。そして聖書はその10日後に聖霊が降ったと伝えています。復活から40日後が昇天日、その10日後(復活から50日後)がペンテコステです。次週私たちは、ペンテコステをお祝いします。神様の一番近くに行かれたイエス様をほめたたえつつ、約束の聖霊が降るペンテコステの日を待ちたいと思います。
5月11日・12日 教会の祈り
司)祈りましょう。
全能の神様。この日主イエス・キリストは地上を離れあなたのもとへ上られました。主がどこにおられても、私たちが主と共にあり、その愛と守りのうちにあることをますます信じさせてください。ペンテコステに向けて約束の聖霊を待ち望む心を私たちのうちに起こしてください。
恵みの神様。5月18日に行われる教会の役員会を祝福してください。新体制に伴い、これからは四教会の役員会が合同で行われることになります。この困難な時にあって役員の労をとってくださっているみなさんを顧みてください。北九州地区の各教会の上にあなたの導きを祈ります。
慈しみの神様。病気療養中の人々のために祈ります。病床にあるみなさんがあなたの守りを信じ、少しでも平安な心で過ごすことができますように。あなたの癒しの御手を伸ばして不安や痛みを和らげてください。サポートされているご家族や医療関係者のみなさんのこともあなたが支えてください。
私たちの主イエス・キリストによって祈ります。
会)アーメン
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