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キリストの働き

2024年2月4日 顕現後第五主日

マルコによる福音書1章29~39節


福音書  マルコ1:29~39 (新62)

29すぐに、一行は会堂を出て、シモンとアンデレの家に行った。ヤコブとヨハネも一緒であった。 30シモンのしゅうとめが熱を出して寝ていたので、人々は早速、彼女のことをイエスに話した。 31イエスがそばに行き、手を取って起こされると、熱は去り、彼女は一同をもてなした。 32夕方になって日が沈むと、人々は、病人や悪霊に取りつかれた者を皆、イエスのもとに連れて来た。 33町中の人が、戸口に集まった。 34イエスは、いろいろな病気にかかっている大勢の人たちをいやし、また、多くの悪霊を追い出して、悪霊にものを言うことをお許しにならなかった。悪霊はイエスを知っていたからである。 

35朝早くまだ暗いうちに、イエスは起きて、人里離れた所へ出て行き、そこで祈っておられた。 36シモンとその仲間はイエスの後を追い、 37見つけると、「みんなが捜しています」と言った。 38イエスは言われた。「近くのほかの町や村へ行こう。そこでも、わたしは宣教する。そのためにわたしは出て来たのである。」 39そして、ガリラヤ中の会堂に行き、宣教し、悪霊を追い出された。

 

先週私たちは、イエス様がカファルナウムの会堂で宣教されたお話を聞きました。イエス様はそこですばらしい教えをされ、さらに汚れた霊を即座に追い出されたので、イエス様の評判がガリラヤ中に広まったという内容でしたね。その後、イエス様はカファルナウムの会堂を出て、弟子のシモンとアンデレの家に行かれます。


シモンとアンデレはカファルナウムの人でした。実はカファルナウムには、ここがシモンとアンデレの家であっただろうと推測されている場所があります。1968年に発掘調査が行われた結果、そこからローマ風の住宅の痕跡が見つかったのだそうです。


ちなみにローマ風の住宅というのは、中庭を囲むようにロの字型に部屋が連なっているつくりの家のことです。ガリラヤ地方はエルサレムとその周辺に比べて、ギリシア・ローマ文化の影響を強く受けていた地域でした。ですからイエス様の生まれたベツレヘムと、シモンとアンデレが暮らしたカファルナウムでは、家の建て方も違っていただろうと思います。


そんなシモンとアンデレの家に行くと、シモンのしゅうとめの話が出ました。しゅうとめがいたということは、シモンは結婚していたわけですが、シモンの妻がどういう人であったかについては福音書中に言及がありません。ただ第一コリントの9章5節には、パウロの「わたしたちには、他の使徒たちや主の兄弟たちやケファのように、信者である妻を連れて歩く権利がないのですか。」という言葉が残っています。パウロの言う「ケファ」とはシモンのことです。この証言から、シモンはのちに信者となった妻を連れて伝道活動を行っていたものと推測されます。


この日はシモンのしゅうとめが熱を出して寝ていました。この時代、おおよそどんな病気もそうですが「熱」も呪いの結果であると捉えられてきました。旧約聖書を見ると、申命記28章22節においてモーセは「(あなたが悪い行いを重ねて主を捨てるならば)主は、肺病、熱病、高熱病、悪性熱病、干ばつ、黒穂病、赤さび病をもってあなたを打ち、それらはあなたを追い、あなたを滅ぼすであろう。」と語っています。

熱をはじめとする病気は、身体の問題であると同時に、信仰の問題であると捉えられていたのです。だから人々はイエス様に助けを求め、癒しを期待しました。病は単なる身体症状ではなく、そこに神の御心が深く関わっていると当時の人々は信じていたからです。


そんな人々の期待にイエス様はお応えになります。シモンのしゅうとめに対して、イエス様が手を取って起こされると、熱は去り、イエス様一行をもてなすくらい元気になったのです。これは彼女が瞬時に、完全に癒されたということを意味していました。このような奇跡的な癒しによってイエス様の評判はますます広がっていきました。


その日、夕方になって日が沈むと、人々は病人や悪霊に取りつかれた人を次々と連れてきました。「日が沈むと」というのはこの日が安息日であったためです。日没までは安息日が続いているので出かけることは律法で禁止されていました。日が沈んで安息日が終わると、移動が自由になった人々がイエス様のもとに押し掛けたということです。


イエス様はここでも大勢の人の病気を癒し、悪霊を追い出されました。イエス様は悪霊にものを言うことをお許しにならなかったとあります。先週の箇所で明らかになった通り、イエス様は悪霊を圧倒する力をお持ちであったからです。悪霊たちは口をはさむ間もなく追い出されていきました。


このように、イエス様は多くの人々を癒されました。先週の「教えること」「悪霊を追い出すこと」に今週の「癒すこと」が加わって、イエス様がされた働きについてより詳しく聞くことができました。「イエスは町や村を残らず回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、ありとあらゆる病気や患いを癒やされた。」(マタイ9:35)これがイエス様の活動の総括であるということができます。


私たちはイエス様と同時代に生きていませんので、イエス様が当時の人々にしてくださった様々な働きを同じように体験することはできません。しかしそのようなイエス様の尊い働きをできる限り受け継ごうとして、教会は不完全ながら歴史を重ねてきました。イエス様の働き、イエス様の力は、この地上からなくなったわけではありません。イエス様を慕い、イエス様に教えや救いを求める私たちの思いをイエス様が顧みてくださっていると信じて、来週もここに集いたいと思います。



2月4日 教会の祈り

 

全能の神様。1月1日に能登半島で大きな地震が発生しました。この地震によって亡くなられた方、被害に遭われた方の上にあなたからの慰めを祈ります。地震からひと月が経った今も不自由な生活を送っておられる方がたくさんおられます。どうかそのような方々の安全と健康をお守りください。また、私たちが捧げる「能登半島地震被災地ディアコニア募金」が少しでも役に立ちますように祈ります。

 

恵みの神様。今北九州地区の教会は変化の時を迎えています。私たちが絶えず祈りながら進み、よい選択ができるように支えてください。今週行われる北九州地区教会共同体運営委員会会計会議をどうぞお守りください。

 

主なる神様。この後行われる直方教会の定期総会を顧みてください。過ぎた一年を振り返り、新しい一年を思って、私たちが祈りをあわせることができますように。どんな時もこの教会があなたの御手の中にあるということを私たちに思い起こさせてください。

 

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