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芽を出す

  • jelcnogata
  • Jul 11, 2020
  • 4 min read

2020年7月12日 聖霊降臨後第6主日

マタイによる福音書13章1~9節と13章18~23節

イエス様は大勢の群衆に向かって、たとえを用いてお話しされています。「種を蒔く人のたとえ」です。種を蒔く人が種蒔きに出ていって、様々な土地に種を蒔きます。イエス様のおられたパレスチナ地域の農業は、種を蒔いたあとに土を耕すという方法で行われていたそうです。そういうわけで、時には草の中に種を蒔くこともあれば、種を蒔いて鋤き返したあとで、意外と土が浅かったということに気付くということもありました。そのように芽が出ない種があったとしても、ともかく精力的に種を蒔いたわけです。

このたとえでは、種が「御言葉」、特に「天の国についてのよい知らせ」を、そしてそれぞれの土地が、御言葉に対する四つの違った反応をあらわしています。聖書の言葉、イエス様の教えを聞いて、人々はそれぞれ違った反応をするというのです。ある種は、道端に落ちて、鳥に食べられてしまいます。つまりある人は、御言葉の種が心の中に蒔かれても、悪い者(サタンであったり、イエス様に敵対する人たちであったり)が来て、それを奪って行ってしまいます。信仰の種は芽を出すことがありません。またある種は、石だらけの土の浅いところに落ちてすぐ芽を出しますが、深く根を張ることができずにすぐに枯れてしまいます。そういう人は、御言葉を聞いて、すぐに受け入れたまでは良かったのですが、信仰が深まらず、すぐにつまずいてしまいます。またある種は、茨の間に蒔かれます。せっかく芽を出しても茨が伸びてくると、それにふさがれてやがて枯れてしまいます。つまり人によっては、せっかくめばえた信仰が、この世の悩みやは富といったことにふさがれてしまい、やがて優先順位が低くなって、しぼんでいってしまうということが起こります。しかしよい土地に落ちる種もあります。そのような種は、実を結んで、百倍、六十倍、三十倍にも成長します。それが、御言葉を聞いて悟る人、イエス様の教えに耳を傾け、イエス様に従って生きる人です。そのような人の実りは大きく、豊かな恵みが何倍にも与えられます。

私たちはこのたとえを聞いてどう思うでしょうか。自分はこの中だとどれかなあ、よい土地になれているかなあ、ということがやはり気になります。もちろんこのお話を聞いて、御言葉を受け入れよう、忍耐強く信仰を深めて、イエス様から離れずにいようと思うのは大切なことです。しかし私たちは、このたとえ話が「よい土地のたとえ」とか「四種類の土地のたとえ」ではなく、「種を蒔く人のたとえ」であることに目を向ける必要があります。イエス様は言われるのです。「種を蒔く人のたとえを聞きなさい」と。心配しなくてもあなたはもう私のものだから、私はいつもあなたのそばにいるから、種を蒔く人になりなさいとイエス様は言われます。弟子たちを派遣するにあたってイエス様は「収穫は多いが、働き手が少ない」と言われました。収穫が多いことはあらかじめ保証されているので、種を蒔く人がもっともっと必要だというのです。蒔かれた種を成長させてくださるのが神である限り、実りが多いということは保証されています。よい土地に落ちた種が時には百倍にも成長するように、ふさわしいところに御言葉の種を蒔くことは、さまざまな実りをもたらし、そして最終的にはこの地上に神の国をもたらすのです。

どんな土地にも種を蒔いてみる、それがイエス様の時代の農業でした。同じようにイエス様も、どんな人に対しても御言葉の種を蒔かれました。福音書を読むと、イエス様が行く先々で人々に拒絶され、受け入れられなかったということが記されています。しかしそれでもイエス様が御言葉の種を蒔き続けてくださった結果、いくつかの種は大きく成長し、やがて大きな実を結びました。私たちは、その実りの一部としてここにいます。私たちはすでに、イエス様と、そして先輩の信仰者たちが蒔いてくださった種による実りであるからです。私たちは自分の努力と根性だけでイエス様に出会い、イエス様を信じたのではありません。でもそれでよいのです。信仰は、神様の働きと、誰かの導きがあって、芽を出すものだからです。ですから私たちは、自分がよい土地になれているか不安になるのではなくて、種蒔きの実りとしての自分を受け入れ、そして自らも種を蒔くために出かけて行きなさいと促されています。そして、その種まきの実りはとてもとても大きいということが約束されています。この一週間も私たちはイエス様の御言葉による実りとして過ごし、誰かの心に御言葉の種を蒔くような信仰生活を送っていきたいと思います。


 
 
 

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