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漁師たちを招く

  • jelcnogata
  • Jan 27, 2019
  • 6 min read

ルカによる福音書5章1-11節

5:1 イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。 5:2 イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。 5:3 そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。 5:4 話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。 5:5 シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。 5:6 そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。 5:7 そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。 5:8 これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言った。 5:9 とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。 5:10 シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」 5:11 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。

私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン

本日は、ゲネサレト湖にて(ガリラヤ湖、ティベリアス湖とも呼ばれる)、主イエスが4人の漁師を弟子として迎えられた出来事について聴いてまいります。

主イエスは、3章で洗礼者ヨハネより洗礼を受けられて以来、地元ナザレ村を含め多くの地域で活動されたと、4章で語られています。その活動の主な内容は、神についての教えと、病人の癒やしでした。4章の締め括りには、次のようにあります。

「朝になると、イエスは人里離れた所へ出て行かれた。群衆はイエスを捜し回ってそのそばまで来ると、自分たちから離れて行かないようにと、しきりに引き止めた。しかし、イエスは言われた。『ほかの町にも神の国の福音を告げ知らせなければならない。わたしはそのために遣わされたのだ。』そして、ユダヤの諸会堂に行って宣教された」(4:42-44)。

突然訪れた一人の旅人が離れ去らないように一同で探し回るほど、主イエスは人々に大きな衝撃と影響を与えたようです。そのような中で、主イエスはゲネサレト湖畔に向かわれました。噂は周辺の村から村へと伝えられていたのでしょう。湖畔に立っておられる主イエスのもとへ、人々が話を聴こうと押し寄せたのです。

「イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた」(5:1,2)。

人々に押しつぶされないためか、主イエスは岸にある一そうの舟を借り、腰を下ろして話をされました。その舟の持ち主は「シモン」。彼は、後に「ペトロ(石)」というあだ名で呼ばれ、多くの弟子たちの代表(12使徒)の内の一人とされます。

多くの人々が活動している昼間に何故、漁師であるシモンは舟の上で漁をせず、網を洗っていたのか。それは、彼ら漁師たちが夜通し漁をしたにもかかわらず、1匹の魚も捕れなかったためです。

しかし、そのシモンに対し、主イエスは言われました。

「話し終わったとき、シモンに、『沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい』と言われた。シモンは、『先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう』と答えた」(5:4,5)。

湖で長年投げ網式の漁をしている漁師たちが、1匹の魚も捕れないなど滅多になかったことでしょう。夜通し漁が徒労に終わった朝、彼らの近くに、噂の人イエスと大勢の群衆が来たのです。

正直「他所でやってくれ」と追い払いたくなるような心境だったことでしょう。けれどもこの時、シモンは小言一つ言わず、主イエスの願い通りに自分の舟を貸し出しています。何故でしょうか。

また、シモンは漁を諦めて網を洗っていたにもかかわらず、何故、素人である主イエスの言葉に従って網を打ったのか。

少し前の4章には、高い熱に苦しむシモンのしゅうとめを、主イエスが癒やされた出来事が記されています(4:38)。つまり、シモンは主イエスと既に会っており、その時に癒やしの業を目撃していたからこそ、疲労困憊の中、主イエスの言葉に従ったのだと考えられます。

「そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった」(5:6,7)。

「魚など獲れるはずがない」と思っていたであろう漁師たちの予想に反し、打った網には、二そうの舟でやっと運ぶことのできるほどの魚がかかったのだというのです。シモンは恐怖のあまりひれ伏し、他の漁師たちも驚愕しました。

「すると、イエスはシモンに言われた。『恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。』そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った」(5:10,11)。

人は、先に何が起こるのか予想することはできますが、予想通りの結果になることは稀です。期待が裏切られてガッカリすることも多ければ、事態が好転することもある。実に不確かです。

しかし、シモンはほぼ間違いないと思える漁師としての勘ではなく、自分のしゅうとめを癒やした人物の言う通りに網を打ちました。その時、彼の予想とは真逆の溢れるほどの恵みを見ることとなったのです。

「シモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、『主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです』と言った」(5:8)。

神にとって、人の力とは如何に小さく、弱々しいか。シモンは、圧倒的な力に恐怖し、自分の罪深さを告白しつつ、主イエスから離れ去ろうとしました。「これまで多くの失敗をしてきたし、これからもするに違いないから、神にふさわしくない。」それは、シモン自身の予想でありましょう。

しかし、主イエスはシモンを弟子として招かれたのです。確かに、シモンは弟子となった後も暴走したり、主イエスの想いと衝突します。それでもなお、主イエスはシモンを必要とされました。ここに、彼の予想を超えた主の求めがあるのです。

私たちもまた、計り知れない主の求めのゆえに、今ここに生かされています。見通しも予想も役に立たない道を私たちは歩みます。だからこそ、すべてを知る主の言葉に聴くことから始めたいのです。

望みの神が、信仰からくるあらゆる喜びと平安とをあなたがたに満たし、聖霊の力によって、あなたがたを望みにあふれさせてくださるように。アーメン

 
 
 

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